Pass The Message

「私の声」

第21回目の「人生の旅」メッセージは、天羽明恵さんからのメッセージです。
<安江佐和子さんからのリレーバトンが天羽明恵さんへ>

現在までのメッセージバトン
プロスノーボーダー&バーを経営する井原寛公さん→ プロスノーボーダー中井孝治さん→ プロスノーボーダー村上大輔さん→
ガールズプロスノーボーダー水木奈歩さん→ 野菜ソムリエのCanacoさん→ 「株式会社ブームプランニング」の中村泰子さん→ 
タレントの金森彩奈さん→音楽家の西村祐さん→ ピアニストの廻由美子さん→ 作曲家の斎藤友子さん→
クラシックパーカッション奏者の安江佐和子さん→ 世界を駆け巡るオペラ歌手 天羽明恵さん→

それではメッセージ、スタート!!

 いきなりですが、皆さんはご自身の声を録音し、聴いた事がありますか?その時違和感を覚えませんでしたか?
「これ・・私が聞いている声と違う」と。 
人間は、自身の発する声を身体の中の凄く近い所で聞いています。
「私の声」は、声帯から発し身体と口蓋(口の中)を響かせて身体の外へ出て、空気を振動させ耳たぶに届き、反射して鼓膜へ、
と言う道筋を通ります。例えば録音した声は、他者が聞いている声とあまり変わらない、外気振動の伝達による「私の声」なのです。
声を発して音速よりも早く客席へ走り聴く・・残念ながらそんな事は不可能ですから、
我々は「一生、自分の声をライヴで(生で)聞く事が出来ない」のです。
また「楽器を選ぶ」事も出来ません。ヴァイオリンやフルート、ピアノを意思で選び学ぶ事は出来ますが、
歌手は生まれ持った声帯(楽器)がどういう音を発っしようと(美声悪声高い低い軽い重い厚い等々)、取り替える事はできないのです。

そう言う訳ですから、我々はいかに「信頼できる自分以外の耳を持つ(代わりに聴いてくれる人)」がとても大切になってきます。
自分の進むべき方向を照らしてくれる指導者や仲間、理想の声や音楽、趣味の合う「耳」を持てるかどうかが、
うまくなれるかどうかに大きく係わってくるのです。声を成長させる為には、他人の助けがどうしても必要になってくるのです
(もちろん他人の言う事が全てではないですが)。

自分には聴こえない自身の声を、他人の耳をもって導いて頂き、感覚の「アンテナ」を張り巡らし、
声を出している身体の状態を覚えていく。
そして年齢と共に変わっていく身体と筋肉に、発声の方法を対応させていく・・・・
気の遠くなる様な作業を一生、続けていかなくてはならない「歌うという人生」です。

 私が高校2年生の時に出会った先生(現88歳の女性)は、ご自分でも勉強する上でご苦労をされたからでしょう、
様々なメソードやテクニックを、そして音楽とは何かを教えて下さいます(現在も進行形)。そして「昔より色々な事が分かった」と、
ご自身で声を出してご指導下さっています。声を維持するだけでも非常に大変な年齢です。
ですが私には「ただ好きで勉強していたらこうなってしまったのよね」と言う先生のその「音楽に対する情熱」に感動します。
そして「死んでしまったら、また始めの一歩から勉強をしなければならないなんて・・!」、
次の人生でも又、歌う人生を選ばれているのです。
声への音楽への情熱を持ち続ける事、好きだからこそ工夫や努力が出来る。
そんな先生に指導を受けられる、奇跡ともいえるめぐり会いによって、私は今でも歌える事が出来るのだと思っています。

 情熱を持ち続ける、一見単純で簡単そうな事が、実は奥が深くて大変な事なのだと思います。
どんな仕事でもそうでしょうが、一つ理解が深まると、次の壁が見える、新たな課題が次々とやってくる。
それを一つ一つ乗り越えていく為の「力」の湧く源が「情熱」なのでしょう。
現88歳の情熱家を手本として生きていく事を決めた私には、彼女に対し恥ずかしくない努力を惜しまず、
歌う情熱の炎を絶やさずに歩き続ける道しか見えません。そして心の中で先生にこう言っています。
「もし先生が生まれ変わったら私を探して!教えて頂いたものをきちんと継承して、お伝えします!!」

次にバトンを渡すのは、あんちゃん。歌手である私の歯と発語、心身をメンテして下さる、
私が信頼する東中野の歯医者さんです。
2月1日フジテレビ系19時~「身体の不思議 ミラクル★TV」に歯科医として出演されます。
ご覧ください!

2011/1/20
天羽明恵

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プロフィール:天羽明恵
http://www.ss.iij4u.or.jp/~amo/soprano/index.html

東京都府中市出身。東京都立芸術高校、東京藝術大学卒業。
二期会オペラ研修所、文化庁オペラ研修所修了。
93年度文化庁派遣芸術家在外研修員としてシュトゥットガルトに留学。
95年五島文化財団オペラ新人賞受賞、副賞として2年間ベルリンへ留学。
同年、新人の登竜門として知られるラインスベルク音楽祭で、ティーレマン指揮《ナクソス島のアリアドネ》にツェルビネッタで出演、
さらにソニア・ノルウェー女王記念第3回国際音楽コンクールに優勝し一躍注目を集める。
その後ドイツを拠点としカッセル、ジュネーヴ大劇場、ザクセン州立歌劇場(ゼンパー・オーパー)、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、
オスロー国立劇場等ヨーロッパ各地、及びアジアの歌劇場や音楽祭に主要な役で出演。これまでに世界16カ国、
古典から現代曲までの幅広いレパートリーで、オペラ公演及びコンサートに出演。 リリックな声(抒情的)と
コロラトゥーラな(装飾的)技術を持ち合わせた、ソプラノ(女声の高いパート)。

2008年より「オペラぺらぺら」と題した解説付きオペラをプロデュースし、「オペラ通にも初心者にも分かり易く面白いオペラ」をモットーに
オペラ啓蒙活動。また、色々な作曲家の人生に焦点を置いた歌曲のコンサートも制作中。
歌うだけでは収まらない音楽への情熱を、様々な形で表現している。

戸田敏子、フランス・シマール、エルンスト・ヘフリガーに師事。グスタフ・クーン、アルベルト・ゼッダのマスタークラスに参加。
サントリーホール・オペラアカデミーのコアメンバーとして、若手の育成にもかかわっている。二期会会員。

*写真は「オペラぺらぺら」公演時です。

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